プリリジーとダポキセチンについて|池袋スカイクリニック

プリリジーとダポキセチンについて

池袋スカイクリニック

プリリジー(ダポキセチン)のindex

プリリジーとは|ダポキセチンとは

プリリジーおよびダポキセチンは、池袋スカイクリニックでは、取り扱っておりません。
そのため、プリリジーおよびダポキセチンに関する質問には、一切お答え致しません。
処方を受けた医療機関、購入した薬局などに、お問合せ下さい。
それが”筋”です。
あくまで、早漏症の解説の一部として記載しております。

早漏治療薬のプリリジー

プリリジーとダポキセチンは世界で唯一認可された早漏症治療薬

早漏治療薬としてプリリジー®はヤンセン・シラグ社(現在はジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門:Johnson & Jonhson Innovative Medicine)が開発した、世界で唯一、早漏症治療薬として認可されている薬剤です。
現在は、Menarini Group(メナリニ・グループ)が製造販売を行なっています。
ダポキセチンは、その成分名であり、プリリジーのジェネリック医薬品名にもなりえます。

プリリジーの販売元であるメナリー二社

プリリジーはアメリカ食品医薬品局FDAでは不承認

しかし、全世界で承認を受けているわけではありません。
その最たる例が米国です。
アメリカ食品医薬品局FDAは、その効果の不確かさと、安全性に対する懸念から、承認を見送っています。
以下に詳細を述べますが、作用機序から、性欲減退が生じる可能性があり、EDに合併した早漏症には、やや不向きでもあります。

日本でも認可されていない

2025.2現在、プリリジー及びダポキセチンは、日本では承認されておりません。
そのため、国内に正規に流通しているものがないため、輸入したものを使わざる終えません。
怪しい模造医薬品や偽造偽造医薬品が蔓延っています。
そのような海外製医薬品を扱う医療機関も増加中です。
ご注意ください。

選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)

この薬剤は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)と呼ばれるグループに属する薬剤です。
後に説明いたしますが、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)という薬剤は、代表的な薬剤性EDの原因薬剤でもあります。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、抗うつ薬として使用されていた薬剤であり、プリリジー®が市販される以前より、 早漏症治療薬として転用されていた経緯があります。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の中でも、射精遅延効果は様々であり、特にパロキセチン(パキシル)が射精遅延効果が高いとされ、使用されていました。

プリリジーのパッケージ

性行為の1〜3時間前に服用

従来の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、効果発現に時間を要しました。

その為、性行為の4-5時間前に服用、 または、毎日定期的な服用によって対早漏症効果が得られました。
プリリジー®は、これらと比較し、即効性を有すため、性行為の必要時にのみ服用するといった使用法が可能となっています。
(逆に、半減期が短く、抗うつ薬として使用する場合、一日に複数回の服薬が必要であることから、 抗うつ薬としての使用が断念され、苦肉の策として早漏症治療薬とした、とも噂されています)

explained by 池袋スカイクリニック

海外製ジェネリック|ダポキセチン

プリリジーの海外製ジェネリックであるダポキセチンを処方する医療機関があります。
日本ではプリリジーは未認可ですので、そのジェネリックも未認可です。
そのため、海外製医薬品を使わざる負えないのですが、そこで、医療機関のモラルが問われます。
ED治療薬の項でも説明させていただきましたが、『出所の不明な薬剤』が多く存在します。蔓延していると言っても過言ではありません。
中には、ED治療薬とダポキセチンの配合錠を処方しているクリニックさえあります。結局、両成分ともに怪しいものであり、勃起もしないし射精も遅延しないと言ったことが起こっています。
薬害が生じる場合もあり、実際に、偽造されたタダラフィルとダポキセチンの配合錠で重症低血糖が生じたとする報告もあります。
(正規品には、そもそも、ED治療薬と早漏症治療薬の配合錠は実在しません)
参照:
Accidental exposure to glimepiride from adulterated medication resulting in severe hypoglycaemia
Endocrinol Diabetes Metab Case Rep.2022 Apr 21;2022:21-0129.

ダポキセチンとED治療薬の配合錠は存在しない

中には、ED治療薬とダポキセチンの配合錠を処方しているクリニックさえあります。
結局、両成分ともに怪しいものであり、勃起もしないし射精も遅延しないと言ったことが起こっています。
薬害が生じる場合もあり、実際に、偽造されたタダラフィルとダポキセチンの配合錠で重症低血糖が生じたとする報告もあります。
(正規品には、そもそも、ED治療薬と早漏症治療薬の配合錠は実在しません)
このような、模造・偽造された医薬品による薬害の報告は、毎年のようにあります。
参照:
Accidental exposure to glimepiride from adulterated medication resulting in severe hypoglycaemia
Endocrinol Diabetes Metab Case Rep.2022 Apr 21;2022:21-0129.

海外製ダポキセチンの見分け方

ただ、多くの場合は、簡単に見分けがつきます。
写真は池袋スカイクリニックに持ち込まれた、他の医療機関で処方された早漏治療薬で、海外製のダポキセチンです。
パッケージには、

  • 日本語記載
  • 製薬会社名の記載

がありません。この様な医薬品は、正規品ではありません。
海外製ED治療薬を見分けるのと、同じ方法で鑑別可能です。
海外製であっても正規品であれば、最低でも、自社名の記載はあります。

海外の多くの国では、医薬品の輸入には、その製造元や成分を証明することが必要とされます。
必要があれば、輸入時に、再検査が行われます。
日本では、『医師が申請するだけ』です。
誰も、製造元や成分の確認を行っていません。
輸入確認証(旧薬監証明)は、輸入の確認証であって、有効成分や安全性の証明ではありません。

成分が本物かどうかは医師であっても判断がつない

医師と歯科医師向けの医薬品の個人輸入の注意喚起

池袋スカイクリニックにも、しばしば、海外医薬品の輸入ブローカーの営業の連絡が来ます。
ただ、プリリジーの正規品だと説明を受けても、正規品であることを確かめる術がありません。
仮にパッケージが正規品と考えられる場合であっても、中身が本物であるかは分かりません。
パッケージが精巧に作られているだけの場合も、多々あります。
ブローカーの言うことを信じるしかないのですが、ブローカーですら、輸入元に騙されていることも、良くある話です。
その様な医薬品を、皆様に処方することは出来ません。
厚生労働省からも、医師や歯科医師向けにパンフレットを作成しているくらいです。
輸入ブローカーも処方している医師も、それが怪しいものであることを知っている、確信犯的な場合もあります。
良くある事と言えば、良くある事です。
仮に、薬害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度が適応されません。誰も補償してくれません。おそらくは、処方した医師および医療機関も保証してくれません。
リスクが高すぎます。

輸入確認証(旧薬監証明)は品質の保証はしていない

ダポキセチンやプリリジーの輸入にあたり、薬監証明(現在は輸入確認証)を習得する必要があります。
輸入確認証(旧薬監証明)は、輸入の許可証です。医薬品の品質を保証するものではありません。
一般の方は、
『医師が、そんな偽物を扱って良いの?』
と疑問に思うかもしれませんが、医師は、その裁量により、治療に必要であれば、プラセボ(偽薬)や麻薬まで使用することができます。
それが悪用されているとも言えます。

海外製医薬品は医薬品副作用被害救済制度が適応されない

医薬品副作用被害救済制度とは、万が一、重大な副作用が生じたときに、その治療費を補助してくれる制度です。
国内の製薬メーカーの拠出金によって成り立っています。
これが適応されるには、まず、この制度に参加している製薬メーカー製の医薬品で副作用が生じた場合に限られます。
添付文書通りの適応症に対し、添付文書通りの使用法で副作用が生じた場合に初めて適応されます。
つまり、この制度に参加していない、海外医薬品メーカーの医薬品で副作用が生じた場合、まず、適応されません。
先発品であろうとジェネリックであろうと同様です。
海外製ジェネリック医薬品には、品質の問題がつきまといます。
その上、医薬品副作用被害救済制度が適応されません。
リスクが高い上に、セーフティーネットも利用できません。

explained by 池袋スカイクリニック

ダポキセチンの中断率は8割以上

プリリジーは、世界で唯一認可されている早漏症治療薬です。
そのため、効果に関しては、当然ですが、証明されています。
多くの早漏症治療ガイドラインにおいても、第一選択薬として記載されています。
唯一の早漏症に対して承認された薬剤ですので、当然といえば当然です。
しかし、プリリジーが完璧かと言うと、そういう訳でもありません。
表題に記載したとおり、多くの研究報告で、プリリジーの治療中断率の高さが指摘されています。
多くの研究報告では、1年後のプリリジーの治療中断率は、8割以上とされ、中断率が9割を超えるとする報告もあります。
1ヶ月後のプリリジー中断率でさえ、4割に及ぶとする研究報告もあります。

中断理由

  • 効果がない
  • 期待していたほどではない
  • 性欲が減退する
  • EDの増悪
  • 費用
  • 副作用

となっています。

ED合併早漏症例には中断率が高い

特に、後天的に早漏になった例、もともと2分程度は射精をコントロールできる例、ED治療薬を使用している例や、国際勃起機能スコアIIEF-5が26未満の例は、中断率が高いとの報告もあります。
ED治療薬の使用例、国際勃起機能スコアIIEF-5が26未満例は、ED合併早漏例とも言えます。
ED合併例は、まずは、ED治療薬を必要十分量使用することが大切です。
参照:
Discontinuation of Dapoxetine Treatment in Patients With Premature Ejaculation: A 2-Year Prospective Observational Study
Sex Med. 2017 Apr 5;5(2):e99–e105. 

explained by 池袋スカイクリニック

プリリジーは性欲を減退させる可能性がある

プリリジーは、先にも記載しましたが、セロトニン再取り込み阻害剤に分類され、しばしばSSRIと呼ばれます。
これらの薬剤は、抗うつ薬やパニック障害の治療薬として知られており、世界中で広く処方されています。
また、薬剤性EDの代表的な薬剤グループでもあります。
これらの薬剤は、不安定な気持ちを安定化させるものです。興奮を抑制する作用を持ちます。
つまり、効果が高すぎると、性的興奮に影響を与える薬剤です。

射精遅延効果とED

少量であれば射精遅延効果、効き過ぎると性欲減退からEDになります。
プリリジーは、性欲に影響を与えることが少ないとされますが、添付文書上にも、頻度は少ないですが、副作用としてEDや性への関心の低下が記載されているのも事実です。
イギリスの製薬協会が監修しているelectronic medicines compendiumに掲載されているリーフレットを見ると、その頻度は、10人に一人未満ともされており、かなりの高頻度になります。
EDを有す場合は、医師に相談する様にとも記載されています。

プリリジーはED合併早漏症例には適さない

このため、プリリジーは対象患者を選ぶ必要があると考えます。
闇雲に、早漏症に対して処方する薬では無いです。
ダポキセチンとシルデナフィルなどED治療薬を併用することで、より良好な治療成績を得ている研究報告もあります。
言い換えると、早漏症例の中に勃起力が減退している、つまり、ED例が含まれているとも考えられます。
また、ダポキセチンの使用により、勃起力が低下している可能性もあると考えます。

ED合併早漏症はED治療が先決

早漏治療ガイドラインでは、EDが存在する場合は、まずは、EDを治療することが先決とされていますが、科学的根拠は乏しいとされています。
勃起の持続に自信がないため、刺激を増やそうとし、セックスを行き急ぐ場合があり、この様な例は、ED治療薬を使用すべきです。
そのため、池袋スカイクリニックでは、ED合併早漏症例では、まず、ED治療をしっかり行うことを推奨しています。
また、早漏症治療薬の効果が不十分であった場合、ED治療薬に切り替えていただいたり、ED治療薬を併用していただいております。
参照:
Efficacy and safety of dapoxetine/sildenafil combination tablets in the treatment of men with premature ejaculation and concomitant erectile dysfunction-DAP-SPEED Study
International Journal of Impotence Research volume 31, pages92–96 (2019)

explained by 池袋スカイクリニック

服用法|プリリジー

プリリジーおよびダポキセチンは、30mgから開始することが推奨されています。
効果が得られない場合は、60mgまで増量することが可能です。
服薬タイミングは、食事摂取の有無は関係なく、
『性行為の1〜3時間前』
となっています。

多めの水で服用|プリリジー

服薬は、コップいっぱいの水で行います。水を多めに取ることは、重大な副作用である失神や血圧低下を予防する意味もあります。
脱水傾向がある時は、この様な重大な副作用が生じやすいため、服用は避ける必要があります。
また、多めの水で服用することは、苦味を避けることにもなります。
一度服用した場合は、次の服薬には、24時間以上間隔を空ける必要があります。
治療開始4週後または、6回使用後に、効果や副作用などから、治療を継続するか判断することになります。

explained by 池袋スカイクリニック

以下に当てはまる場合は、プリリジー(ダポキセチン)の服用はできません

禁忌 : 以下に該当される方は、プリリジーおよびダポキセチンの服用はできません。

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 心不全や不整脈などの心疾患を有す患者
  3. 失神発作の既往がある患者
  4. 躁病や重度のうつ病の患者
  5. 中等度以上の肝機能障害を有す患者
  6. MAO阻害剤に分類される抗うつ薬(本邦未認可)を服用している患者

禁忌 : 以下の薬剤とは併用はできません。

  1. MAO阻害剤に分類される抗うつ薬(本邦未認可)
  2. チオリダジンThioridazine(本邦販売停止:統合失調症など)
  3. リチウム製剤(双極性障害など)
  4. リネゾリド(抗生物質)
  5. トリプトファン(睡眠補助など)
  6. セントジョーンズワートSt John’s wort(セイヨウオトギリソウ)
  7. トラマドール(鎮痛薬など)
  8. 偏頭痛治療薬
  9. ケトコナゾールやイトラコナゾールなどの抗真菌薬
  10. リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、アタナザビルなどの抗HIV治療薬
  11. テリスロマイシン(ケテック)などの抗生物質
  12. 抗うつ薬ネファゾドン(本邦販売停止)

注意事項|プリリジー

以下の症状が出た場合は、服薬を中止し、医療機関でご相談下さい。

  • 失神発作
  • 起立時の意識障害やめまい、クラクラ感
  • 気分・情緒の変化
  • 自殺念慮や自傷念慮

プリリジーおよびダポキセチンを服用することで、気分が悪くなる、または、気分が悪くなった様に感じる場合は、服薬を中断して下さい。
脱水傾向がある場合は、プリリジーまたはダポキセチンの服用は控えて下さい。
プリリジーまたはダポキセチンの服用時は、飲酒は控えて下さい。
グレープフルーツまたはグレープフルーツジュースを摂取した場合は、24時間以内は服薬を控えて下さい。
服用により目眩や眠気、意識障害がある場合は、車の運転や、機械の操作などは控えて下さい。
未成年者および65歳以上の方はプリリジーおよびダポキセチン服薬は避けて下さい。
錠剤には、乳糖が含まれています。乳糖不耐症など、糖に対する不耐症がある場合は、服薬前に医師に相談して下さい。
プリリジーの服薬を中断する場合は、それが毎日服用していなくとも、中断前に医師に相談して下さい。中断は、睡眠障害や眩暈を誘発場合があります。

explained by 池袋スカイクリニック

プリリジー(ダポキセチン)の副作用

患者さん向けのリーフレットによれば、主だった副作用として、

  • めまい
  • 頭痛
  • 不快感

が多く、その頻度は10%以上とされています。

  • イライラ感、不安感、興奮、落ち着きの無さ
  • 痺れ感やチクチク感
  • 勃起とその維持の困難(ED)、性的興味の低下
  • 発汗や紅潮
  • 胃痛、膨満感、消化不良、下痢、便秘、放屁など消化器症状
  • 睡眠障害、奇妙な夢
  • 疲労感、眠気、あくび
  • 鼻詰まり
  • 血圧上昇
  • 集中困難
  • 震え
  • 耳鳴り、霧視
  • 口渇感
  • 痺れ感やチクチク感

などが、10%未満の頻度で生じるとされています。
副作用が、やや多い印象を持たれるかもしれませんが、軽微なものが多く、認容性が高い薬剤とされています。
先にも述べましたが、勃起機能に影響を与える可能性があることは注意が必要です。

失神発作|重大な副作用

プリリジーおよびダポキセチンは、特に『失神発作』に対して、特に注意が促されています。
本薬剤が有する、セロトニン再取り込み阻害作用により、交感神経(自律神経)が阻害され、血管迷走神経反射を引き起こすことが分かっています。
簡単にいうと、起立性低血圧を生じやすくなります。
起立に伴い、血圧を維持するために、血管は収縮し、心拍数は増加します。
この生理反応が働かなくなるのが、血管迷走神経反射です。
症状としては、立ちくらみを生じやすくなるのですが、程度によっては、これによって、失神をきたす可能性があります。
そのため、失神発作の既往がある方や、心不全や不整脈を有する方は、プリリジーおよびダポキセチンの使用は避けなければなりません。
参照:
Cardiovascular Safety Profile of Dapoxetine during the Premarketing Evaluation
Drugs R D. 2012 Nov 27;11(1):1–11.

explained by 池袋スカイクリニック